ハーレムオブトーキョーX レビュー|東京の夜を歩く、もうひとつの恋愛シミュレーション

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恋愛ゲームという枠に収まりながらも、どこか乾いた空気と、現実味のある人間関係を描き出す——それが『ハーレムオブトーキョーX』です。本作は、派手な演出やファンタジー的な設定よりも、”肌の温度”を感じさせるような距離感で進行する恋愛シミュレーションゲームです。

世界観:東京の裏側に潜む静かな熱

舞台は現代の東京。歌舞伎町や六本木のような”夜の街”をモチーフにしたエリアを移動し、女性たちと出会っていく構成になっています。ただし、本作が描くのはドラマチックな成功譚やヒロインとの奇跡的な恋ではありません。
むしろ、少し醒めた視点から「関係の始まり」や「会話の駆け引き」が描かれており、過度な演出は排除されています。

登場人物たちは、リアリティ重視。媚びたセリフやキャラ付けではなく、「実際にいそう」なテンションで会話が進むため、プレイヤーによっては距離感に戸惑うこともあるかもしれません。

システム:シンプルだが、妙に引き込まれる

操作はタップ主体で、選択肢によって好感度が上下。ストーリー分岐こそ緩やかですが、どの女性とどのような関係を築くかはプレイヤー次第。特定の条件を満たすことで、プライベートなイベントがアンロックされます。

注目すべきは、キャラの”温度差”です。同じセリフでも、声のトーンや表情差分がわずかに変化しており、そこに含まれるニュアンスがじわじわと効いてきます。
過激な演出や派手なCGを排したぶん、想像力の余地があり、妙にリアルに感じられるのが特徴です。

ビジュアル:地味め、だけど狙ってる

イラストはセクシーさを強調しすぎず、どちらかというと“余白”で見せるタイプ。露出はありますが、ギリギリ手前で止めてくるあたり、意図的なコントロールを感じさせます。

「ここから先を想像してくれ」
と、絵の中の彼女たちが語りかけてくるような、そんな間合い。

背景やUIも夜の東京らしく、ややくすんだネオンカラーでまとめられており、全体として静かで硬質な印象です。決して派手ではありませんが、記憶には残ります。

ガチャ・課金要素について

課金要素はスタミナ回復やイベント開放、そして衣装アンロック。
“ハーレム”という単語から連想されるような派手な札束ゲームを想像すると、やや肩透かしを食らうかもしれません。
ただし、地道に進めれば無課金でもエンディングまでたどり着ける作りになっています。

とはいえ、「ここぞ」という瞬間にしか現れないイベントがあるため、そうしたタイミングでは少額課金も視野に入れたくなるはずです。


総評:静かに熱い、大人な関係を楽しむゲーム

『ハーレムオブトーキョーX』は、過剰に甘やかしてくる恋愛ゲームに飽きた人にこそ刺さるタイトルです。
過激すぎず、かといってクリーンすぎず。現実と虚構の間を、やや淡白に描いたバランス感覚は見事です。

恋愛、というより“関係”をつくる。その過程を観察し、介入する——。
本作の魅力は、そこにあります。